2011年10月アーカイブ

平成23年10月26日、この写真は現在進行中の我が家のリビングルームです。25年間も木製サッシを作ってきたおとこの終の棲家かと思われるかもしれません。実は,改修工事に使った窓はすべてあまりものなのです。

5、6年前から、いずれ自分の部屋を、と思って計画していたのですが、結局会社の倉庫にあるものを使いました。しかし、妥協も不満もありません。当然のことと思っています。会社の倉庫で眠っていた作品を有効に使ったのですから、、、、、、

材料もガラスもすべてまちまち、塗装の色も違いますが意外と違和感はありません。大きな窓はビューウィンドウです、そとは亡くなった父が、同じ年代の頃にこつこつ作った雑木ばやしで、小さいけれど毎年春は鶯の棲み家になっています。

そろそろ紅葉の始まる頃、父が植えたもみじが大窓の真ん中に主役を張るのももうまじかです。

 

我が家わが部屋.jpg

 

 

 

木製サッシの見積もり後、発注へと進むと、殆んどの場合塗装色の決定をしなければならない、これはかなり重要な作業で設計士さんやお施主さんを含めて何度かやりとりをすることになります。

見積もりの段階で木材種が決まるのがふつうですから本来ならば塗装色はその段階でおおよその色の系統を決めておくべきでしょう.つまり、塗装色を優先に考える場合は仕上がり色をうまく出せる材種を逆に選んでいくこともあるわけです。

木材には材がもともと持っている固有の色があり、それからかけ離れた色を塗ると材の雰囲気を壊してしまうのです。

最も厄介なのはヒバ系の材に茶系の色を塗る場合、どうしても色むらが出て、ヒバの明るさが消えてしまうのです。反対に赤茶系の米松や杉の赤身に黄色系の色を塗っても決していい色は出ないのです。

木材種や色を決定する要素は部屋が洋風か和風かによっても考慮する必要があると思います。事前によく相談することが大事です。

色サンプルを作る.jpg

 

 

 

jitakunosoto.jpg
 六月から始まった我が家の改修工事、まだ未完成ですが部屋の外は紅葉真っ盛りです。モミジは赤ではなく黄色ですがなかなかきれいです。大きい窓は嵌め殺し窓ですが断面は上の突出し窓と同じように作ってあります。外側はアルミで覆ったいわゆる、複合サッです。

 木製サッシメーカーがつくる複合窓は木の断面ボリュウムが80%以上有り、しかも木とアルミは直接接することがないように、中間にナイロン樹脂をかませてあります。
このタイプの窓が今後主流になると思われていますが{ドイツでは)なかなか伸び悩んでいるのが現状です。 

その二、の写真に予定どおり額縁をつけてみました、下側の幅広になったところは特にものを置くためではなく、デザイン上奥行き感をもたせるためにしました。

しかし、ドイツのホテル(ガスト)などであまり開けることのない廊下や階段の踊り場など窓の内側にも同じように枠幅をとり小さな飾りを置いてあったりします。廊下の窓と、部屋の窓は使い方が違うので、内側の額縁周りもちがっ来るのが本当かとおもいます。

 額縁後.jpg

 

 

 

 

 

 

DKおさまり内部.jpg
これは自宅内部からの写真で内額縁は未だついていません、窓の両側にはヒノキの柱があり
窓わくとの間には30mmほどの板をまわしてあります。
まわりはボードを張ってその上に左官壁を塗ります。ドレー、キップは吊元側にヒンジがあるので、ヒンジから10mmくらいは逃げるようにします。さらに柱との隙間が気になるので柱にすこし
かぶせるようにしようと思います。

また、額縁が厚いと窓を内側に開いたとき吊元側にぶつかるのであまり厚いいものはつかえません。
次に、材質ですが、窓はオーク材で柱がヒノキなので頭が痛いところです、実は窓は別の目的で造ったもので、本当はヒノキか能登ヒバで造った窓の方がよかったのかもしれません。
DK納まり図.jpg
このスケッチは,ドイツの建築雑誌から拾ったものです。壁厚は30センチほどあると思いますがそれにしてもずいぶんと内側に寄せたものです。
建築雑誌と言っても数字が入っていないので絵のような感じもします。しかし、納まり図としては結構説得力のある図です。
実際、ドイツ窓の納まりはこれが標準といってもいいくらいでこのほうが窓の痛みもすくないのです。
DK納まり図.jpg
このスケッチは、ドイツの建築雑誌から拾ったものです。壁の厚さは30センチはあるとおもいます。それにしてもずいぶんと室内側に寄せていると思いませんか。
じつは、このくらいがドイツ窓の標準的な納め位置なのです。こうすることによって窓の痛みが少なくなるのとこの部分に滞留した空気が内部の空気との温度差をあまり作らないというメリッツトもあるのだそうです。つづきのページには実際の納まり写真が、、、、、、 

何年か前に天皇陛下もおとずれられたノルウェー北部の古都、トロンハイムのウオーター、フロント。(写真、下)

神秘的なフィヨルド(写真,上)








フィヨルド−2.JPGトロンハイムのウオーターフロントトロン.ハイムJPG.JPG

DK納まりプラン.jpg
実はこれ私の自宅です。現在、寝室を改築中です.型ガラスを入れ内側に格子を入れたドイツ窓ですが自宅にドイツ窓をいれるのはこれで三度目です一回目は、ちょうど25年前で、ドレー、キップの製造をはじめて間もないころです。
DK25年前.jpg

ハンドル.jpg
これはすべてヨーロッパからの輸入品です。ヨーロッパの窓金具の大きな特徴は国やメーカーが違っても共通部分が多いことにあります。
ハンドルは特にそうです。したがって、たとえば一つの部屋に違ったタイプの窓をつけた時にもほとんどの場合同じ色やデザインに統一することが可能です。たしかに、国によるデザインの差はあるのですがひとつのハンドルメーカーをたとえにとると、南のイタリアから北のノルウェーまで販売網を持ち、違ったデザインのハンドルを作っているのです。

いろいろ選択しがあるといっても、例えば、ドイツの内開き窓のハンドルを、デザインを北欧風にしても、同じ内開きタイプのフィンランド窓には合わないのです。(写真の右上かどの金色のハンドルはフィンランド窓用、中央のシャンペンカラーのものはドイツ窓用です。) 

もっとも、ヨーロッパの一般住宅で幾種類もの窓を合わせて使うことはあまりないようですが、日本では結構あります。窓の持つ機能を考えるとそれもあるのかなとおもいますが、、、、、、、
ビューウィンドー.jpg
 7月初めに長野県から仕入れた栗がようやく乾燥が上がり制作可能となりました。サンプルとして持ち運びができるように少し小さめに作ったのですがサッシと枠の表面はシルバー色のアルミ材です。木材とアルミ材の体積比率は約8:1くらいです。これを木製サッシと呼んでいいかどうかは議論のあるところですが、最近はこういうタイプの問い合わせが多いのです。
クリのビューウィンドー.jpg

 木製サッシをいれるとメンテナンスが必要です。

こんな風に書くと、「どんな風なメンテが必要なのですか?」という質問が返ってきそうです.実際、メンテなど必要なんですか、というお客さんもおられることは事実です。住宅部材すべてに言えることだと思いますが、サイクルの差はあっても殆んどメンテナンスが必要です。木製サッシの場合はサイクルが意外と短く、こまめに観察して早めの対応をお勧めします。

とりあえず、施工後一年目に外部の目視点検と開閉操作点検が必要です。直射日光のあたる時間多いところや、雨風にさらされやすいところは特に入念に点検します。

最も注意の必要なのは塗装の状態です。条件の厳し所は一年で塗装面に小さなクラックが入ることがあります。写真は施工後10年経たお客さんからの塗装依頼でした。このお施主さんはご主人が二年?三年に一度簡単な塗装をされていたそうで状態はなかなか良かったのですが、普段見れないところ,塗れないところをメンテしてほしいということでした。こんなときは障子をはずし、気密材の点検や可動部分への注油などもすることにしています。

 

窓のメンテ.jpg

 

 

 

 

 

 窓に限らず家並みにはその国その国の独特の雰囲気、つまり、特長があります。さらに言うと、おおよその地域までもわかることがあります。その典型的な国がドイツです。この写真はドイツのほぼ中央部、ライン河沿いの小さな街で撮ったものです。

屋根の色の赤いのは南ドイツから中央ドイツまでで北ドイツの一般住宅の屋根の色はほとんど灰黒です。窓が内倒しになっているのでこれも一つの特徴です。しかし、内倒しの窓を多く使う国はドイツだけではなく、スイス、オーストリーといったいわゆるドイツ語圏の国もよく使いますし、最近はチェコや、ポーランドなどにもドイツ窓金具が売れているそうです。

ドイツの金具メーカーの営業マンさんの話によると、アジアでは中国がいいお得意さんなのだそうです。

しかし、いずれにしても建物の雰囲気でその国雰囲気が伝わってくるということは建築文化にとっても大変大事なことで,われ我国産木製サッシメーカーにとっても日本の気候風土にあった窓つくりを心がけたいものです。

 ライン河沿いの家.jpg

 

 

能登ヒバ製材.JPG
 これは能登ヒバです、末口の直径は60センチをこえています。これだけの大径のものはなかなかありません。端っこから挽いて行って、これは真ん中あたりですが芯の近くでも節はあまりありません。一本で約1,5立方あります。価格は10万円をかるく超えます。

これ一本で一平方メートルの大きさのドイツ窓が何窓できるか計算してみました。材料歩留り60%、で約十窓分,製材費用,乾燥費,集成費などをいれると
木材費用は一窓当たりおよそ2万五千円ほど、そのほかにガラス、代金具代、製作費、塗装費などをいれると8万五千円~九万円というところでしょうか。

高いといえばそうかもしれませんが10窓も使えば40坪くらいの住宅がじゅうぶん作れます。 
ホゾ加工.jpg
 日本で本格的にヨーロッパの機械や刃物を購入して木製サッシの生産が始まってから早、四半世紀が経ちました。この方法で作れば大丈夫と思ってきましたが、最近になっていろいろわかってきたことがあります。それは、輸入業者さんも同じですが、まず、日本の気候を考えた窓つくりをしなければいけないということと、材質選びに注意すること、この二つのことをよく考えることです。

相欠き.jpg

運搬信州より.JPG

今回は長野県の望月町から桜、楢、唐松、を仕入れてきました。

運送屋さんを使って大量に買うこともありますが、2トン車で買い付けにいくこともありま

す。次は製材屋さんのところですが、製材所は一箇所しか使いません.挽き子さんとの

意思の疎通がむつかしいからです。それは、建築材と窓材[建具)材の挽き方が少し

違うからです。

今では、あまり建具材を挽くことが少ないようで、結構神経を使うそうです。

一本、一本木目を見ながら挽いていくわけですが、時々迷うことがあります。

木は一本一本違うので本当に難しいのです。それが、面白みでもあるのですが、、、、、

断熱気密性能が高い国産の木製サッシ製造メーカー
森の窓
森の窓株式会社

〒929-1403 石川県羽咋郡宝達志水町所司原栗小羽南平1
代表取締役 山本 忠嗣

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