2011年9月アーカイブ

木製サッシの材料の入手先は何カ所かありますが造材業,とか、山切り、とか言った仕事をする人達から買うこともあります。そのため、時には山の中まで行くこともあります。そこまでしなくてもと思うかもしれませんが、立ってる状態で木に接すると、木を大事に使わなくては,という気持ちになるものです。

森の窓では木製サッシを作り始めて今年(2011)で26年めになりますが、初めて使った木材は米松でした。当時は良質の無垢材が豊富にあり、価格も手ごろでしたが、最近は輸入材も高くなりました。もっと国産材を、という空気は時代の流れでしょう。

木製サッシに適した木はそんなに多くはありませんが、工夫次第では選択肢が広がります。その一つが複合化です。もう一つは集成です、集成というとあまり良いイメージではないかもしれませんが、木材の欠点である、そり、ねじれを止めるためには今では欠かせない技術といえます。

又、集成することによって、いままで使うことが難しかった30センチほどの直径の木も利用可能になりました。珍しい木で自分だけの窓をオーダーすることも可能なのです。

 

yamanonakahe.jpg

 

 

 

 

shinnsounomado.jpg 木製サッシの防火性能のはなし

意外と思われるかもしれませんが、木製サッシは火災には大変強いのです。

現在日本の住宅建築に使用されているサッシの材質の中で、最も燃えにくい、、、と言うより、火に強いのは木なのです。

火事になると炎の温度は700度をこえます。たしかに木材に700度の炎を近づければ木は燃え始めますが、防火試験ではガラスや金具を含めて、基準の20分間を持ちこたえるのです。

アルミは?というと、アルミは燃えないけど、とけるのです。

実のところ、木製サッシにも部分的にアルミを使っていますが防火の試験では真っ先に溶け落ちてしまいます。

 防火の試験は、ひとつの窓に対して試験体を2個作り、内側からと外側からの両方からテストをします。

火元になった場合は内側の防火性能も大事ですが、延焼を防ぐ為には外側から焼くテストも必要なわけです。

 ドアや引き戸など5種類の窓種それぞれについて試験が必要で費用も大変多くかかります。平成13年、日本木製サッシ工業会のメンバーが共同で受験し、国土交通省から認定書の交付を受けています。

防火についてのご質問等がおありでしたらお問い合わせください。

DKfukugou.jpgDK断面.jpgこの写真はドイツを代表するドレー、キップ窓です。

最近の目玉、というのは少し的確ではありませんが、7~8年ほど前から、窓の見本市は複合サッシ一色と言ってもいいくら注目されています。

下の段の写真は、従来型の純木のサッシですが大きな違いは、取り付け後の外部の塗装メンテナンスの有無です。

複合タイプの窓は従来型の外側に断熱用のナイロン樹脂を介してアルミのカバーをつけています、木材のボリュウムはほとんど同じですが制作に手間がかかるのとアルミ材やナイロン部材費が増えた分価格が上がるのでなかなか需要が伸びていないのが実状です。

 

 

下の写真は内部外部ともに塗装が必要です、内部の塗装はクリヤーでもOKですが、外部は有色の外部用保護塗料を塗る必要があり、特に外部は3年から4年に一度は表面を掃除して再塗装をします。

この塗装メンテナンスは大変重要なことなのですが、意外とおろそかにされがちなので注意が必要です。

 複合サッシは木製サッシか?、という声が聞こえてきそうですが、個人的にはそう思うようになってきました、このタイプを初めて目にしたのは実は15年ほども前になりますがその当時は少し抵抗感を感じていました。

問題の価格ですが複合タイプは純木タイプに比べてドレー,キップと外開きは約1・35倍、引き戸タイプは1・4倍高となります。 

 

 

ノルウェーの三大フィヨルド,ガイランゲル近くの岩の丘にたたずむサマー、ハウス ?

きっと、こんなところがバイキングの拠点だったのだろう、と想像してみた。

海から数百メートルほどの所に建つ、いくつもの建物、バイキングの時代の建物はもっ

と小さくて、窓の大きさもこんなに大きくはなかったろう、などと色々思い浮かべてみた

。なにしろ、ガラスがあったのか?、金具はどんなだったろうか?などと考えると現在

我々が作っている木製窓と比べると性能的にはかなり差があったに違いない。

 しかし、私はこうも考えてみた、寒い冬の隙間風を防ぐために動物の皮などを気密材

に用いたのではないか、などと、、、、、、、。

 

ノルウェーの小屋.gif 2009年7月ノルウェー

フィヨルドの家.gif

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

oaktaru.jpgブナ科のドングリ類の中でも国産のミズナラは日本の広葉樹のなかでも重厚で耐久性も高く、高級家具材や、フローリング材としても有名ですが、実は、高級ウイスキーの樽材として使われているのです。

 栗も、楢も、大変性質の似通った木で特に栗材は湿気にたいしては日本の広葉樹のなかでもトップクラスの耐久度を持っています。

ただ、蓄積量の多い木では無いので、これまで楢材ほどには利用されてはきませんでした。また、針葉樹よりは一般的に扱いが難しいということも利用の拡大を妨げている一因かと思います。kurinosannzumi.jpg

 

 

 

2011年9月12日、四立方ほどの箱挽きした栗材を桟積み開始しました。今時分は気候がいいので、この状態で一か月ほど天乾して、そのあとマキストーブの乾燥室でさらに3週間ほど放置し、1週間ていど養生した後にプレーナーがけをし集成材を作ります。

栗材は、実は昔から和室のふすま戸の材として良く使用されていて、室内建具材としては十分実績のある木なのです。

 森の窓のブログではこの栗材で造るドレー、キップ窓の制作工程をお伝えしていく予定です。

ベルゲンの窓.jpgフィヨルド観光で有名なベルゲンで撮った一枚の写真です。こんな写真はよほど窓に関心のある人か窓屋しか撮らないでしょう。ベルゲンにはもっとみるところがありますが、私は少し外れた住宅地区に入り込みました。

此の窓は観音開きの窓で、縦長の2枚の障子を2個づづの平蝶番で吊っています。エレガントな外額縁が付いていて少しレトロな感じのするまどです。

50年以上は経っているでしょう。この時代にはよく見られるタイプの窓ですが、最近のこの国の窓には突き出しタイプのものがふえてきています。

塗装はやはり、圧倒的に白塗りが多く何度も塗り込まれてペンキの厚みが1ミリ以上というのもめずらしくありません。

ベルゲンの町は歴史的にみると海運業や商業で栄えたことで有名で現在はフィヨルド観光の拠点として、ノルウェーでは最もよく知られた所となっています。

ドイツハウス.jpg この住宅は先月(23年8月)に完成した、広さ25坪ほどの小住宅です。窓種はドレーキップとへーべ、シーベです。

外部の塗装は黒色に近い色ですが内部はクリアー仕上げで木材は能登ヒバ材でつくりました。

場所は八ヶ岳の山すそでロケーションは抜群です.これを建てられた工務店の社長さんは大のドイツ好き、大変熱心なドイツ窓の研究者でもあります。

 春先に我が社に見学に来られ、能登ヒバ材をお見せしたところ、即座に決まりました。実はこの工務店さんへの納入は2回目で、初回の材料は米松でしたが耐久性の話をしたところ能登ヒバを選ばれたわけです。

ドイツ窓を能登ヒバで造るという、20年来の夢がやっと現実のものになってきた感じです。

タンゴ説明.jpgスピルカ社のH-Windowは日本でもかなり知られてきましたが実はこの会社、数年前に引き戸のシステムも完成させたのです。

写真は引き戸を30センチほど開けた状態ですが左枠の上部に着いている角長の部品は,閉めた時にサッシを強力に室内側に引き寄せる受け金具です。

引き寄せはハンドル操作で行いますが閉める瞬間は少々力が要ります。何か、潜水艦のハッチでも閉めたような感じです。

この窓はまだ輸入されたという実績は聞いていませんがいずれどこかの輸入業者によって販売されるかもしれません。

当社でも二年まえから製造していますが、社内でもすでにクレセントタイプの引き戸と、へーべ,シーベという強力なライバルがいてユーザーさんに勧めるのがなかなか難しいのです。

どうしても実績のある方を選んでしまいがちになります。

然し、中にはすべて北欧窓で統一したいというユーザーさんもおられるのでぼつぼつと出荷数が増えてきています。

 

私に、この木製サッシの金具メーカーを紹介してくれたのは、1990年代、シュレーゲルという会社に勤めていて、換気扇や、気密材の輸入販売をしておられた吉村という方でした。かれはこの金具メーカーのものも輸入販売していたのですが正直、使い方が難しく導入に躊躇していたのですが、1995年頃のあるとき「スピルカから技術講習会を開くから来ないか、と誘われているんだけど代わりにどう?」、と、すすめられたのがきっかけでノルウェー行きがきまったのでした。

 フィンランド以外の三か国は、蝶番吊りの外開きが一般的ですが、実はこの金具メーカーの回転金具を使った窓を専門につくる木製サッシの工場がノルウェー国内に13社もあり、共存共栄を図りながら強い結束力ももっているのです。

 この金具使って作る窓は、H-ウインドウと呼ばれ、日本にもかなり輸入されていて、某大手住宅メーカーの窓はすべてこのの窓が標準装備になっつています。

スピルカ社のまえで.jpg

 

私はノルウェーのある港で木で建造された一隻の漁船をみつけた。海水につかる部分に使われている木は木製サッシに良くつかわれる欧州赤松と言う木です。

水に対してはあまり強い木ではないのですがつかりっぱはしで、しかも海水だから十分持つのだろうと思います。こんなことで私はある大胆な仮説をたててみました。「木製の窓、つまり、気密がとれて、しかも防犯上も安心な開口部、こんな窓を必要としたのはバイキングが最初ではないか、と。

彼らの使用した船も赤松で作られていたに違いない。などと、私の推測はますます広がっていくのです。そして、バイキングのことをかいた文章のなかに、「バイキングは海賊,交易、植民を繰り返す略奪経済を生業としていたのではなく、ノルウェーの考古学者であるヘイエルダールがのべたようにこの地においては農民であり漁民であっつた、特に手工業に秀でており、職人としての技量は同時代においては世界最高のレベルであった。」とあり、私は更にその確信を深めたのです。

実際、ノルウェーの内陸部にも世界遺産となる、木造の素晴らしい教会があり、その木材加工技術の高さには目を見張るものがあります。

木造船.jpgただし、本当のところ、ノルウェーにはそれほど多く木材があるわけではありません。「ノルウェーの森」という有名な本があるくらいで、なんとなく森林王国のような感じがしますが、実際のところ、有用な赤松材はスウェーデンやフィンランドから買っている状態でした。

実際、私の友人のノルウェーの窓屋さんは、スウェーデンの北部から仕入れていました。

ノルウェーという国は国土がほとんど大きな岩盤の上にあるといった国で大木の根っこを支えるだけの土質部分が浅いのです。

しかしながら、私にはノルウェーの、しかも、北の海岸の岩の上やフィヨルドの奥にひっそりとたたずむ小屋の窓に木製サッシの原型があるように思えてしまうのです。

 

 

 

 

 

o-resunnoyuugure.jpg 
北欧の中で最も北欧らしいのがノルウェーではないかとおもいます。この写真は北ノルウェーの海岸沿いにあるオーレスンという街の夕暮れを撮ったものですが実はこの風景ノルウェー風ではないのです.それは、この街が百年程前に火災で街全体が消失し、復興の依頼をドイツにしたため本当のところドイツ風なのです.では、なぜこの写真なのか、というと実はこの街に北欧を代表する窓、Hーウィンドーの工場があり、当社にとっては大変関係の深い街なのです.四大フィヨルドに近いこの街は観光地としても有名で毎年多くの観光客がおとずれます。
オーレスン全景.JPG



街の中心から車で、ほんの五、六分のところに街全体を見下ろせる展望台がありました。
 
 
P1040501.JPG 
これもフィンランドの南部バンターと

いう街で撮った窓です。かなり古い窓

で内開き窓です.最近のフィンランド

の窓はペアガラス、トリプルガラスの

使用で単窓の内開きが一般的ですが

北へいくとペアガラスを入れたサッシ

のさらに外側に単板ガラスの入ったサ

ッシがもう一枚付いた変わったタイプ

もあります。すこしややこしい開き方
で私はあまり好きではありませんが............

ホワイトアスパラ.jpg窓の話ばかりでは実際のところ疲れてくるのです。私はドイツ窓はもちろん大好きですが

ドイツ料理ドイツワインにも目がないんです。ドイツでは5月末から6月にかけて、ホワイ

トアスパラの収穫シーズンで、たいていのレストランではシーズン限定メニューでゆでアス

パラが出てきます。この時に飲むのがドイツの白ワインで、私は必ずと言っていいほどフラ

ンケン地方の辛口をオーダーします。この地方の白ワインは一度飲むと病みつきになりま

す、が、日本ではほとんど売られていません。ドイツのフランケン地方に行くとこんな話が

あるそうです。「フランケンのワインはフランケンの連中が皆で飲んでしまって外に売るほど

余ってないのさ」、と、ま、そのくらいおいしいんだよ、というのがこの地方のワインの宣伝

文句なのです。実際は毎年東京でドイツワインのフェステバルがありこの地方からの拡販

スタッフが来ているそうです。最近はそれほど頻繁にドイツに行くことはありませんが今で

はドイツ訪問の一番の楽しみは現地で味わうワインなのです。

工場作業.jpg日本の木製窓メーカーは多品種少量生産型

ヨーロッパの木製窓メーカーが規格化、単一商品、大量

生産型であるのに対して、日本のメーカーは、多品種少

量生産型です。つまり、個別のお客さんに対しての特注

対応ということです。現在国内で活動中のメーカー,約

十社のほとんどは最低でも7~8品種のタイプのアイテム

を持ち、使用する木材種も柔軟に対応できるはずです。

このことは、国産メーカーとして大変大事なことで企業

継続のキーポイントでもあります。7,8年前までは国産

メーカーの信頼度には多少の問題がありましたが最近

は技術的に輸入品をしのいでいると思います。

一部の輸入品は別としてたいていは製品の仕上がり状態においても国産製品に軍配があがるようです。価格も以前は国産

は高いといわれていましたが、ローコストタイプも開発対応しているメーカーもあるので問い合わせされることをお勧めします。

 

P1050221.JPG日本に木製窓といわれるものが入ってきたのは25年

以上も前でほとんどヨーロッパからの輸入品と思われ

ます。当社で木製窓の製造をはじめて数年ほどしてか

ら、お二人の年輩の設計士さんが東京からこられて

「こんなところでドレー、キップ作っているなんてビックリ

だよなー」と言われたことをおぼえています。その方た

ちの話によると現役の頃はよくドイツから輸入したとの

ことでした。また1990年頃、晴海のグッドリビングショ

ーに出展したときにはすでに近くのブースに北欧窓

の輸入展示がされていたので此のころから急速に

普及し始めたものと思います。1990年当時は国産メ

-カーも三、四社しかなく、当社の年間売り上げも現在の十分の一ほどでした。その後メーカーも増え続け、現在は本州

でも十社ほどになっつています。その間、全国木製サッシ工業会が設立されさらには今年より任意団体から一般社団

法人として新しくスタートをきっています。

 

banta-nomado-2.jpg 
フィンランドに限らず北欧の木製窓

ほとんど白ペインで塗りつぶされてい

ます。これが北欧四カ国の木製窓の共

通点かもしれません。もうひとつあり

ました、窓材、これも殆ど同じ材で

北欧の主要植林材の欧州赤松という木

で、日本の赤松と殆どおなじですが材

は木目がつんで緻密です。しかし松材

は耐久性があまりないので使用するに

は庇を大きく採る等して、雨がかりを少なくする工夫が必要です。





フィンランドの家.jpg
これはフィンランドの住宅ですが同じ

寸法の窓が片面に5セットも入ってい

ます。実はヨーロッパではごく普通の

ことで、一棟の家にいく種類もの寸法

の違う窓を使うことはあまりありません

使ってもせいぜい2種類です。たぶん

統一感を大事にしているからでしょう

か.そのため外から見るとその窓の

部屋が、寝室なのか、リビングなのか

わかりません.ま、他人にはそんな
 
ことはどうでもいい事なのですが.......

この窓は外から見て左側の縦長部分が内開きの窓で隣ははめ殺しです.窓部分の外側には網がはら

れ換気窓としても使えます。また、開口部分は幅が20センチ程しか無く夏など,夜、開けっ放しで

寝ても防犯上の問題はありません。窓の使い方としては我々も考えさせられるところが有りそうです。
断熱気密性能が高い国産の木製サッシ製造メーカー
森の窓
森の窓株式会社

〒929-1403 石川県羽咋郡宝達志水町所司原栗小羽南平1
代表取締役 山本 忠嗣

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